アサヒ、オールプレスを買収【ニュース解説】

アサヒグループホールディングス(アサヒビールやアサヒ飲料の持株会社)がオールプレス・エスプレッソの買収を発表しています(日経新聞2021年5月1日 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71548020Q1A430C2TJC000)。

オールプレスは、1989年オークランド(ニュージーランド)発祥のロースターさん。オークランドの他、シドニー・ロンドンなどにも焙煎所を構え、世界各国1000店以上に卸しています。(https://sg.allpressespresso.com/our-story)

日本では清澄白河にロースタリーがありますね。直営店のほか、40箇所くらいのお店で愉しめます(https://jp.allpressespresso.com/find?category=cafe-finder)

清澄白河にあるロースタリー兼カフェは僕も訪れたことがあるのですが、巨大な焙煎機とカフェに漂うコーヒーの香りが素敵でした。クリーンなカップも印象的で、品質にすごく力を入れてることが伺えます。

実際、特徴的な焙煎技術は当社の売りです。焙煎後に豆を冷却する際、焙煎由来の煙が被らないようにできるHot Air Roasterを用いることで、焦げ臭さを軽減できるというのが当社の主張のようです(https://sg.allpressespresso.com/roast-method-matters)。

さて。アサヒさんがオールプレスさんを買収する狙いはどこにあるのか。上記日経新聞によれば、オールプレスの販路を活用し、オセアニア市場の開拓を進めるということです。

これは僕の予想ですが、おそらくアサヒさんが狙っているシナジーはその限りではなく、国内でのコーヒー飲料のさらなる品質向上を狙っているのかな、と考えています。アサヒ飲料さんは缶コーヒーブランド「ワンダ」を持っています。そこにも何らかのテコ入れをしていくのかなと思っていますし、そうなったら面白いなあと考えています。

コーヒー業界は焙煎業者の交渉力が強い点で、ロースタードリブンであると言われます。コーヒー事業に本腰を入れるのだとすれば焙煎工程に噛むのが王道でしょう。アサヒさんはそこを狙っているのかなと個人的には考えています。

現在、焙煎業界は欧米系の企業が強い領域です。すなわち、コーヒー産業には欧米企業の意向が強く反映されます。日本の飲料系ビジネスを牽引するリーダー企業の1つであるアサヒさんが勝負を仕掛けるのだとすれば、これは非常に楽しみです。

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