アフリカ大陸FTAの進捗

アフリカ自由貿易圏協定(AfCFTA)の先行きは未だ不透明です。

今年の1月1日より発効となったAfCFTAは、エリトリアを除く54カ国(と地域)が署名しています。
そのうち批准国は36カ国にすぎないものの(シエラレオネテレグラフ誌)、今後の進展次第ではさらなる拡大は見込めますし、ナイジェリアや南アフリカなど大国を含む36カ国の自由貿易圏はそれだけで十分なインパクトがあると言えます。これが本格的に実現すれば、アフリカ大陸が一つの経済圏としてまとまると期待されます。

EUやEFTA、ASEAN等を見ていると、AfCFTAの実現は経済発展への希望です。域内貿易が盛んになることで必要な人に食料が届く可能性、また域内協調によってフードビジネスが盛り上がる可能性があるというのがシエラレオネテレグラフ誌の見立てです。

全面施行となれば経済的に意義のあるAfCFTAですが、実際のところ今は道半ばです。関税障壁の撤廃が謳われているものの、その実施は2021年から数えて6年目以降ということです(事務局HPによる)。非関税障壁についての議論は未だ行われている最中で、地域共通通貨(正確にはデジタルペイメントシステム)もまだまだ構想段階です(FAOによる)。

さらにこれが全面実施になったとして、どの程度まで経済振興に資するのかは疑問です。アフリカの多くの国で主力となっている輸出品目は農産品ですが、小規模農園も多く、そもそも農家さんはきちんと市場にリーチできていない状態にあります(エチオピアの現状と挑戦についての宮崎のnote参照)。AfCFTA単独が持つ、貧困削減や経済振興へのインパクトに過度な期待は難しいでしょう。包括的な取り組みが求められます。

アフリカ大陸が1つの経済圏としてまとまるのは、ある種の悲願でした。OAU(AUの前身)時代から夢見られてきた構想がAfCFTAとして結実したことはモニュメンタルなイベントであり、万難を排して辿り着いたことには敬意を評します。次はこれが本当の意味でスタートを切り、さらに草の根的な盛り上がりも加わることで、アフリカがさらに繁栄する未来を楽しみにしています。

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